ピストン戻し再び
ある方のリクエストでピストン戻しツールを作ってみました。
アウディのリアブレーキはサイドブレーキが内蔵されてるので、キャリパーのピストンは戻りにくいです。ピストンを時計方向に回しながら戻すのですが、戻りません。かなり力がいります。市販のキューブタイプのやつでは厳しいと思います。そこでSST(専用ツール)を自作しました。
キモはこの部分になります。ピストンを回すプレートです。ピストンの溝に入るように突起を設けてあります。
円盤の側面には回転させるための棒をつっこむ穴。不要になったドライバーや六角棒レンチの太いのなど利用して回します。
材料は捨ててあった軟鋼の端材を使用。旋盤でさーっと削って黒皮を取り、角を面取り、センターにボルトが入るくぼみを裏表に設けました。突起は3mm径の軟鉄の棒を圧入。サイドに8mm径の穴を十時方向に二本あけます。ドライバーを差し込みやすいように面取りもキッチリと。
これがあれば突起側でリアブレーキ戻し。突起の無い面でフロントブレーキを戻せます。便利でしょ?
零号機と初号機を比べてみました。零号機はその辺に転がってたアルミを旋盤で削って、突起を残して金切り鋸で切ったモノです。ちょっと仕上げがイマイチですね。やはり見栄えは初号機の勝ちですね。手間も初号機の方がかからないです。
ピストン戻しフルセット初号機。ボルトは高級なステンレス製。
プレートは鉄製です。これは今まで使っていたモノ。ちょうど良い端材が無くて、今まで使っていたモノ。
これをある方に譲ることにしました。
完成したら、いよいよテストです。当日は湿った雪が降っていて、寒かったですが、テストしないことには発送できません。
「品物が届いたけど使えない」では鍬兎郎製作所の名が泣きます。
タイヤを外しキャリパーを外しピストンを露出。結構さびてますね〜こんなところにも塩カルの被害が・・・。
実際に戻してみます。四角いプレートをピストンの反対側にセットし、ボルトを締め込むと丸いプレートを押し込んでくれます。丸いプレートにドライバーを突っ込んで時計回りに回すと徐々にピストンが戻っていきます。しかし、かなり戻り方は鈍いです。これキューブタイプを使って手で押しながら回すって無理!戻らないですよ。あるお方の苦労がわかりました。
作ってみて
旋盤が使えれば誰でも簡単に作れます。2本のポッチは精度が必要です。今回は2つのポッチの中心距離が28mmにしました。もう少しアバウトでも良さそうです。
ある方がお急ぎのようでしたので、ちゃっちゃっと作っちゃいましたが、もう少し丁寧に削って、仕上げをきれいにすれば良かったです。今後の課題ですね。
形状自体はこれで十分完成形です。ピストン戻しはこれで非常に楽になります。ってか、コレがないと事実上ピストン戻しは不可能ですね。やってみてそう思いました。
改良型を作るきっかけを与えてくれたある方に感謝します。